不慮の事故で韓国一の見栄っ張りな男の魂が宿ってしまい“あの世のテンション”を持つようになった王妃キム・ソヨンと、2つの顔を持つ君主・哲宗(チョルジョン)の間で起こる魂入れ替えフュージョン時代劇コメディ「哲仁王后」 (철인왕후)!
今回は2020年12月から韓国で現在放送中の人気ドラマ「哲仁王后」 (철인왕후)をお届けします。
女好きで見栄っ張りの現代韓国男性が朝鮮時代にタイムスリップし、体が女性になり、しかもその女性は王妃だという何とも愉快なテーマを描いた作品です。
今までタイムスリップものや男と女が入れ替わるといった作品はいくつもありましたが、今回は時空も性別も越えていますのでこれまでのものとはユニークさが飛び抜けています!
初回放送から高視聴率をマークしその後も数字は伸び続けており、韓国で話題沸騰中の大人気ドラマ「哲仁王后」 (철인왕후)、ドラマのあらすじや見どころをご紹介いたします!
<ドラマ情報>
韓国ドラマ「哲仁王后」
原題:철인왕후
韓国放送期間:2020年12月12日~
韓国放送日:土日21:00~
20部作
初回視聴率:8.0%(ニルスンコリア提供)
演出:ユン・ソンシク「花郎<ファラン>」「最高です!スンシンちゃん」
脚本:パク・ケオク「カインとアベル」
(韓国公式)
<ドラマ満足度>
全体評価:8.3
キャスト:8.5
シナリオ:8.5
感情移入:7.5
演出:8.5
<予告動画>
チェ・ジニョク、シン・へソンに魂が入れ替わる⁈“俺に何をしたんだぁ!!!”
韓国ドラマ「哲仁王后(철인왕후)」のあらすじ
怖いもの知らずのマイウェイ男・ボンファンがある日突然朝鮮時代に不時着し時空を超えただけでなく性別までも超えて女の体に魂が閉じ込められてしまった!?さらにその体は王妃になる体だと!?朝鮮王朝第25代国王・哲宗との間で巻き起こる時代劇スキャンダルドラマ!
“料理は政治だ”と自慢気に話す、女好きで見栄っ張りの韓国大統領官邸・青瓦台(チョンワデ)の最年少料理長チャン・ボンファン(チェ・ジニョク)だったが、重要な会食の場で鮮魚に針が入っているのを見逃し罷免されてしまう。
これ見よがしにボンファンを目の上のたんこぶ的な存在に思っていたハン秘書室長とブ料理人の陰謀により、ボンファンはさらに食材料納品不正容疑で逮捕される危機に直面する。
ボンファンは刑事から逃亡しようと誤ってホテルのベランダから墜落しプールに溺れたところで韓服を着た女性が近づいてきてキスをされ、そのまま気絶してしまう。
目を覚ますと韓屋(ハノク)の部屋で寝ており、自身の体は筋肉が消え何だか脂肪がついている。起き上がって鏡を見てみると女の体になっている自分の姿に目を疑い、思わず“船幽霊か?”と発すると声まで女になっていることにさらに驚き、部屋の外に出てみると多くの使用人が待機しており仰天するキム・ソヨン。
“これは夢じゃない”“入ってきたなら出ればいい”と考えるようになったソヨンは、女官に詳しく話を聞いてみると一昨日の夜に宮中の湖の中に溺れているところを発見され一昼夜意識が戻らなかったこことを説明される。
“共通点は水だ”ということに気づいたソヨンは女官達を振り切って湖に向かって疾走するも、湖は事故再発防止のため水がすべて抜かれておりたソヨンはただ泥まみれに!さらに女官達が自分に向かって言葉の端々に「ママ」と発するので何かと思えばソヨンは近々王妃になる予定だという驚愕の事実!
そして宮中で王の哲宗(チョルジョン)と対面するソヨン。婚姻を控えた哲宗から早くも側室の話を聞かされ初恋の相手を側室に向かい入れる旨を説明されるが、ソヨンは元の姿に戻ることだけを気にしており側室の件は気にも留めず、“自分は未来から来て本当は男だ”と哲宗に訴えるも“そなたは水の事故で精神がおかしくなってしまったようだ”と言われる始末!
そうして元の姿に戻ることが出来ないまま婚礼の日が訪れ、とうとう哲宗と初夜を迎えることになったソヨンは危機的状況を回避しようと策を練るが服をほどいて近づいてくる哲宗に抱かれてしまうことに!?
韓国ドラマ「哲仁王后」 」の主要キャスト
主人公のキム・ソヨン役をつとめたのはシン・ヘソン。
朝鮮王朝第25第国王・哲宗(チョルジョン)を演じたのは「愛の不時着」で若き実業家ク・スンジュンを好演し日本でもその知名度を高めたキム・ジョンヒョン。
哲宗の養母・純元王后(スヌウォンワンフ)役にぺ・ジョンオク。
純元王后(スヌゥウォンワンフ)の弟でキム・ジャグン役にキム・テウ。
哲宗の側室、ジョ・ファジン役にソル・イナ。
メインキャスト紹介
キム・ソヨン
本来のソヨンは、自分を産んで亡くなった母の死を無駄にしないために親孝行のつもりで王妃に選ばれることを人生の目標そして自身の存在意義とし最善を尽くして生きてきた。そうして哲宗の王妃に選ばれこれで全てが上手くいくと思っていたが、いざ宮中入りしてみると哲宗の側にはファジンがいて自分には何もすることができないと知ることになる。
シン・ヘソン
1989年8月31日生まれ ソウル出身
出演作「30だけど17です」「黄金の私の人生」
哲宗(チョルジョン)
朝鮮王朝第25代国王。家来達になじられないために生まれながらの王のように重厚な装いでつんと澄ましているが、実は一夜にして王となった成金君主。
仮面夫婦を演じるのも上手でソヨン(中身はボンファン)が吐き気を誘発するほど優しくしたりもするが二人きりになると一気に冷たい態度をとるため、そのサイコパスのような一面にソヨンは“王は王でもお飾り王”と呼んだ。
キム・ジョンヒョン
1990年4月5日生まれ 釜山出身
出演作「愛の不時着」「ウラチャチャMyLove」
純元王后(スヌウォンワンフ)
朝鮮王朝第23第国王の正妻で、哲宗の養母。
“私が若さを維持しようとするのは力を維持するためだ。”メスライオンのように威厳のある姿だが、今の生活に満足しているため自ら動物園のメスライオンのような生活を選んだ。しかし実際に彼女にエサを与える飼育員のような存在は弟のキム・ジャグンにも見えるが、果たして…。
ぺ・ジョンオク
1964年5月13日生まれ
出演作「鉄の王キム・スロ」「その冬風が吹く」
純元王后(スヌウォンワンフ)の弟。
“現状を維持するためにはより大きな力が必要だ。”そう考える彼は世間を打ち倒すのではなく維持することに関心が多い。知らないふりをしているだけで息子のソヨンへの恋心にも実は気づいている。
キム・テウ
1971年4月15日 ソウル生まれ
出演作「ロマンスは別冊付録」「神様がくれた14日間」
ジョ・ファジン
“私の夢は殿下です。”哲宗が江華島へ島流しに遭う前に運命的に出会った哲宗の初恋の相手で、側室として宮中入りする。ソヨンよりも王妃の座にふさわしい人物として愛されてきた彼女だったが、哲宗の心を掴み続けるために徐々に闇が深くなっていく。
ソル・イナ
1996年1月3日生まれ
出演作「力の強い女ト・ボンスン」「青春の記録」
その他印象に残ったキャラクター
チャン・ボンファン
現代青瓦台で最年少シェフをつとめる。
無類の女好きで怖いもの知らずの暴れ馬タイプだが痛いことが本当に嫌いな実はビビりタイプ。朝鮮にタイムスリップし“自分が王妃だなんて!”と不屈を言い続けるも、国庫と朝鮮美人のおかげで朝鮮に住もうと心に決める。普通のタブーは全て無視しているが、男だけは好まない。
チェ・ジニョク
1986年2月9日生まれ
出演作「ゾンビ探偵」「エマージェンシーカップル」「相続者たち」
チェ・サングン
口癖は「ママ~、それはいけません!」王妃キム・ソヨンを補佐する小言ロボットの尚宮。宮中が何でも最高という考えで宮外に出るのを嫌うインドア派だったが、じゃじゃ馬ソヨンのせいで悩みがつきない。
チャ・チョンファ
1980年4月28日生まれ
出演作「愛の不時着」「熱血司祭」
マンボク
宮中スラッカン(料理部)所属の宮中料理専門家。スラッカンを出入りするようになるソヨンに警戒心を抱き調理法をめぐってソヨンと敵対するも、アイディアを融合しながらソヨンの助力者として活躍する。
キム・イングォン
1978年1月20日生まれ
出演作「美男<イケメン>ですね」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」
感想 & 見どころ(ネタバレなし)
不慮の事故で韓国一の見栄っ張り男チャン・ボンファンの魂が宿り“あの世のテンション”を持つようになってしまった王妃キム・ソヨンの魂入れ替わりスキャンダルが本当に可笑しいこのドラマ!
朝鮮時代を背景に、二つの顔をもつ君主・哲宗(チョルジョン)との間で繰り広げられる仮面夫婦の攻防が非常にユーモラスに描かれ、2人がドラマチックに変化していく様も大きな見どころです。
心は現代韓国男子ボンファン、体は朝鮮時代王妃キム・ソヨンの宮中での暮らしぶりや宮中の人物がじゃじゃ馬ソヨンに振り回されている様子が本当に可笑しく、さらに秘密の多い宮の中でソヨンがどう生き残っていくのかが注目されます。
【中身は現代韓国男子、体は朝鮮宮中王妃】
時空も超え性別も超えた主人公が戸惑いながらも朝鮮時代の宮中で暮らし始めるのですが、王妃の恰好をしながら猛ダッシュ・ハイジャンプしたり、側室をナンパしたり、女目当てで遊びに出かけたりなど、王妃なのにも関わらず、中身はボンファンなので現代の男目線で行動するという滅茶苦茶なギャップが非常にコミカルに描かれていてとっても可笑しいんです!
やはりこういう性別を超える、タイムスリップするというテーマのものは、そもそものキャラクターが普通でない、むしろある程度逸脱しているとなおさら面白いのだと思いますが、今回のボンファンは“怖いもの知らずで女好きの韓国一の見栄っ張り男”というキャラクターなのでボンファンの魂が宿った朝鮮時代の王妃ソヨンのチャラ男っぷりは尋常じゃない面白さに仕上がっています!
こんなぶっ飛んだキャラクターを主演のシン・ヘソンが体当たりで演じきているのでもうお見事!!
OST動画
劇中で流れるこのOSTもまた魅力的!韓国の伝統音楽「国楽」と現代ロックを組み合わせたような独特のリズムとメロディは中毒性があって、「ボンファナ~!」と何回も叫ぶので全国のボンファンさんは振り向いちゃうのではないでしょうか(笑)
【仮面夫婦の攻防やいかに】
朝鮮王朝第25代君主・哲宗(チョルジョン)はスマートな外見でカリスマ感にあふれ、宮中の女子たちから憧れの存在。湖のほとりでしっとり文学に励んでいると思ったら読んでいたのは実は春画!(笑)という、こちらもまた型破りで意表を突いてくる君主・哲宗。そんな夫・哲宗とのスキンシップや初夜の営みを避けようと様々な作戦を練る中身が男のソヨンですが、春画を愛読するほどの哲宗がそれをまたひらりとかわす!?
そんな2人の攻防が非常に面白いです。哲宗には初恋であり側室のファジンという大きな存在がいますが、哲宗は韓国男ボンファンの魂が宿ったじゃじゃ馬ソヨンの一挙手一投足に振り回されながらも不思議なその魅力に徐々惹かれていき、少しずつ2人の関係にも変化が生まれていきます。中身がボンファンのとのソヨンとはどのような夫婦となっていくのか、そしてそんな2人を見ているファジンがとる行動とは…。
【宮中でボンファンの実力を最大限に発揮】
ひょんなことから料理を振舞うことになる王妃ソヨンですがこれがまた実に愉快です。
現代の大統領官邸でシェフとして活躍するほどの腕前をもつボンファンの魂が宿ったソヨンは、朝鮮の人々からは見たことも聞いたこともない様々な調理法を駆使し数々の美味しい料理を振舞います。
じゃじゃ馬ソヨンに宮中の人々は振り回されつつも、美しくそして美味しいソヨンの料理にメロメロに魅了されていく宮中の人々!
朝鮮時代には存在しなかった韓国の国民食・ラーメンまで手作りしちゃいます(笑)。
ソヨンが手掛ける色鮮やかで美しい料理がとっても美味しそうで、ドラマを観ながら食べてみたいなぁと思わず感じてしまいました。
【朝鮮王朝第25代哲仁(チョルジョン)とは】
時代劇を観るにあたって、時代背景を少し知っておくとドラマが入ってきやすいのではないかと思います。
朝鮮王朝第25代国王の哲宗(チョルジョン)は、1831年に22代国王の異母兄弟(恩彦君)の七男・全渓大院君の三男として生まれました。
恩彦君は3人息子がいましたが全渓大院君だけが生き残り、さらに全渓大院君には3人息子がいたそうですが長男が政争に巻き込まれ処罰され、哲宗も一緒に江華島へ流刑されてしまい島で農業を営みながらみじめな生活を送っていたそうです。
そんな中、第24代国王の憲宗が後継ぎのいないまま死去してしまい、憲宗の祖母であり第23代国王正妻の純元王后(スヌウォンワンフ)が哲宗を島から呼び戻し哲宗を養子にしたうえで1849年に王に即位させたそうです。純元王后の実家は安東金一族と言われており、自分と一族が政治的影響力を維持するためにあえて教養のない哲宗を王に迎えたと言われており、さらに哲宗の存在を探してきたのが安東金一族のキム・ムングンと言われておりそれが縁でキム・ムングンの娘であるキム・ソヨンが王妃に迎えられたそうです。
哲宗は王に即位するも安東金一族の勢道政治の中では自分の政治権力を行使できないことにとても苦しみ酒におぼれ、在位14年、33歳(数え年)の若さで死去してしまったそうです。
そして政権を私物化し一族の繁栄だけを願った純元王后は、国の政治を犠牲にして朝鮮王朝が衰退する原因を作ったとし、巷では朝鮮王朝ウラの3大悪女とも言われているんだとか!
今回のドラマ「哲仁王后」 (철인왕후)の中では政権を維持するために若さを保とうとする純元王后の姿がコミカルに描かれていますが、ドラマ後半になるにつれ国王・哲宗、現代韓国男子の魂が宿った王妃ソヨンとの緊張関係が垣間見えるシーンも出てきており、歴史の一ページを覗くようなドキドキ感も味わうことのできるドラマに仕上がっています。
参考:ウィキペディア:哲宗 (朝鮮王)
時空も性別も超え朝鮮時代の王妃となってしまった、女好きで韓国一の見栄っ張り男の朝鮮脱出記とも言えるこの「哲仁王后」 (철인왕후)!
現代韓国男子が朝鮮時代、しかも宮中でどう生き抜き、そして仮面夫婦である国王・哲宗との夫婦関係はどう変化していくのか?そして一体魂は元に戻るのか?
スキャンダルドラマらしくコミカルに、かつ時代劇のダイナミックさも加えられ見どころ満載な「哲仁王后」 (철인왕후)、最後まで楽しく視聴したいと思います!
文:Yun
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